「燃える統魂」で拓く触角アート ーーユニバーサルな制作・鑑賞のために

【課外講座のお知らせ】

12月5日(月)に、本学科教授の間島秀徳先生企画の課外講座が行われます。
講師として広瀬浩二郎先生(国立民族学博物館准教授)と篠原聡先生(東海大学ティーチングクオリフィケーションセンター准教授/松前記念館マネージャー)をお招きし、お二人がこれまで実践されてきた「さわる展示」「さわる鑑賞プログラム」についてお話しいただき、講座の終盤では間島先生や本学科生の作品を実際に「さわる」ことで鑑賞します。学外の方もご参加いただけますので、ぜひ足を運んでいただければ幸いです。

※詳細は以下の概要または添付のポスター画像をご確認ください。

課外講座
「燃える統魂」で拓く触角アート
ーーユニバーサルな制作・鑑賞のために

12月5日(月)16:30〜18:00
武蔵野美術大学2号館205教室

【企画趣旨】
視覚中心の社会について考える講座
「ユニバーサル・ミュージアム=誰もが楽しめる美術館」を掲げ、展覧会やワークショップの開催に取り組み、「さわる」ことの意味を追求してきた全盲の人類学者広瀬浩二郎氏と、盲学校や養護学校の児童や生徒とのワークショップを通じた交流の記録を篠原聡氏に講義して頂く。

【講座内容】
アントニオ猪木は「闘魂とは己に打ち勝ち、闘いを通じて自分の魂を磨くこと」と述べている。この定義に触発されて、僕たちは新たな「統魂」概念を提案したい。統魂とは自己と他者の垣根を取っ払い、全身の触角を通じて森羅万象とつながること。
さあ、猪木のファイティング・アーツ(Fighting Arts)の精神を継承する「統魂」伝説が武蔵美から始まる!
近年、各地のミュージアムで「さわる展示」「さわる鑑賞プログラム」が試みられている。これらの事業は視覚優位・視覚偏重のミュージアムの常識を根本から問い直す挑戦として意義深い。しかし、そもそも視覚(見る)と触覚(さわる)は二項対立の理念・感覚ではない。視覚とは、触角(全身に分布するセンサー)の一部であると考えることができるのではなかろうか。動物的な触角を取り戻すことで、僕たちは「見る+さわる」、さらには「見る×さわる」の統一・統合の境地に至るに違いない。
今回の講座では、まず全盲の文化人類学者・広瀬浩二郎が自らのライフワークとして取り組む「ユニバーサル・ミュージアム」(誰もが楽しめる博物館)の現状を分析し、未来を展望する。「統魂」「触角」の役割を解説することによって、障害者対応、弱者支援ではないユニバーサル・ミュージアムの真意が明らかになるだろう。ついで、美術史研究者・篠原聰が地域連携の枠組みで実施してきた制作・鑑賞ワークショップの豊富な実践事例を紹介する。二人の報告を通して、「見る/さわる」の二元論を乗り越えるユニバーサルな触角アートの可能性を提示できれば幸いである。
最後に、講座参加者の有志とともに、間島秀徳教授の作品を広瀬が「無視覚流」で鑑賞する。この鑑賞デモを介して、武蔵美の学生たちに「統魂」を注入できればと願う。