西村藍 展-on stage

この度、本学日本画学科卒業生の西村藍氏をお招きし、「西村藍展-on stage」を開催致します。本展のキュレーションは公益財団法人佐藤国際文化育英財団 理事 立島惠氏のご協力のもと、開催致します。皆様ぜひご高覧下さい。

 

 

 

西村藍の作品を大学院生の頃から見ているけれど常に異彩を放っている。

本展のメインビジュアルとなる「shooting star」もいつもながら不思議な趣がある。

修道女の装束を纏った二人の人物が両腕を上げて互いに傾斜するポーズは秘教的儀式、祈りや召喚、或いはエネルギーの交わり。左右対称の人物配置は「陰と陽」、「現実と幻想」、「自己と他者」と言った二元的なテーマの暗示。室内の構図とアーチ型の天井は寺院聖堂のような神聖な場を示し、中央の星空と流れ星の放射は宇宙との超越的な繋がりを示唆。下層へ続く階段には「自己の内面性」や「無意識への降下」と言った心理的、精神的な探求が見て取れる。そして画面両脇のカーテンの存在は何かの「始まり」、または何かが「明かされる」感覚へ誘導させられるかの如く。

このように彼女の作品が纏う表現要素は多面的、複合的であり、我々の想像を掻き立て飛翔させる。それは決して心地の良いものばかりではなく、むしろ見る側の精神を大きく揺さぶり時には抉りさえするかもしれない。しかし口当たりが良く、虚ろで照準の定まらないアート作品の氾濫が見られる昨今、西村藍という表現者の存在は稀有であり貴重であると思う。

立島 惠